2017年04月07日

魚香についておもうこと

魚香について日本の中国料理界で騒がしかったので、四川に行ったついでに調べてきました。

調べることは二つ
@泡辣椒は必須かどうか(トウバンジャンで代用可能か)
A薬味は炒めるかどうか(もしくは調味料の入った碗に生のままいれておくか)

調査対象店はたった二つです。
@陳麻婆豆腐店
A夫妻肺片

その前に重慶に行きました。
そこで先輩の師匠(重慶人)にこのことをきいてみました。泡辣椒については聞き忘れたので師匠の師匠に聞いたところ、泡辣椒を使い、トウバンジャンは使わないとのことでした。薬味は先に炒めると言っていました。

陳麻婆豆腐店(豚肉細切り魚香炒め)
何度も怒られてますので、聞ける雰囲気ではありませんでした。ただ、薬味は炒めていました。泡辣椒でした。

夫妻肺片(ナス魚香炒め)
四川省でやっと普通話が使えるようになり、調理場とのコミュニケーションがとれるようになりました。とても喜ばしいことです。ここはまず見て確認し、そのあと身分を明かして(私の連れは日本で一番有名な唐辛子の研究者なんです。わざわざ日本から泡辣椒の調査にきましたので、ぜひ教えてくださいと言いました)、聞きました。泡辣椒については泡辣椒9トウバンジャン1(目視・説明では泡辣椒多め、トウバンジャン少なめ)、薬味は先に炒めていました。

作り方でいえば茄子を揚げてから、油で泡辣椒、青ネギ、生姜、ニンニク、豚肉まで一度に入れて炒めます。水、チキンパウダー、醤油、味の素、砂糖、塩を入れて茄子を戻し、でんぷん、くろずでした。教科書通りに行くと泡辣椒をまず炒めてから薬味を炒めて・・・でしょうが、全部をいっぺんに炒めてるので生っぽいもしくは炒めが浅いという状況になるのではないかと思います。重慶の人に聞くと薬味はしっかり炒めるのが本当とのことですが、重慶と成都の料理は少し違うので、成都でもしっかり炒めないといけないのか、もしくはこれでいいのかわかりません。

トウバンジャンについては入っていることは確認できましたが、では全量トウバンジャンで許容されるのかというと、されないという意見は二度聞きましたが、断定できません。

魚香の名前の由来については諸説ありますが、野菜を乳酸発酵させた汁に唐辛子とフナをつけておき、その唐辛子を使ったからというのが現在の主流です。その後フナを入れるところが少なくなり、現在は唐辛子の漬けものだけで魚香と言っています。ということは、フナがあるから魚香と言っていた料理が、フナがなくなっても魚香と呼ばれるようになり始めたころは、フナがないなんて偽物だという声があったのではないかと想像できます。そうしてみると、泡辣椒からトウバンジャンになるのも時代の流れなのでしょうか。

あと昔は泡辣椒は手切りしていましたが、今はミキサーで荒く刻んでいるようです。見た目はそっくりなのでトウバンジャンとの見分けは遠目からはつきません。食べたらわかりますが混ざっていることもあります。しかし、魚香というからには泡辣椒が(全量ではなくとも)入るというのが現在も生きているのではないかと思います。逆にトウバンジャンでなければだめだという方がいたら教えてください。

あと気になることが一つ。夫妻肺片は現在特級調理師が料理指導に入っています。思ったよりずっと美味しいです(別に行かなくていいです)。しかし、四川の料理は古くは碗献(調味料をすべて碗に合わせておき、いっぺんに加える技術)であったはずですが投げ込みで作ってました。批判を恐れず言えば投げ込みのほうが四川の味になりやすいと僕は考えているのでうちも投げ込みです。そして「いっぺんに味を入れる」という観点から炒め物だとスープを入れた後火を止めて全部の調味料を加えます。酢も先に入れます。茄子だから投げ込みじゃないのという声もあるかもしれませんが、ナスも基本は碗献だと言ってました。

ということでもう少しどさくさで聞きたかったですが、こんな感じです。
少なすぎる調査数ながら、「薬味は先に炒めて、泡辣椒は全量ではなくても必ず使う」とわたしは思います。
次の調査は誰でしょうか
posted by オギノ at 23:48| Comment(0) | 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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