2010年10月11日

ジャーナリズム

今日は、私の知り合いに起こった話をします。
十年近く前のことですが、現在も変わらない中国の状況を如実に表している話です。

以下の「私」は私の知り合いのことです。

私は四川省で財布を落としました。中国で財布を落としたら、ほぼ百パーセント出てこないのですが、手続きのために公安局を訪れ、書類を書きました。

後日、私に電話がありました。公安局からで、財布が届けられたとのことです。中身もそのままで、今拾い主がいるということでしたので、あわてて公安局に向かいました。

公安で待っていたのは50がらみのおじさんでした。私は丁寧にお礼を言い、何かお礼を差し上げようというと、いらないとの返事でした。それでは申し訳ないと食事をおごることにしました。

道すがら話をすると、彼はジャーナリストでした。
私が新聞記者志望ということを伝えると、彼は吐き捨てるようにこう言いました。
「中国にはジャーナリズムはないよ。」

「共産党に都合のいいことしか書かない新聞、党の認めたことしか放送しないテレビ、党の媚を売ることしかしない雑誌、これが正しいメディアの在り方か?」

私は返す言葉がなくうつむいていました。その雰囲気を察したのか、彼はわざと明るくふるまうように言いました。「それでもなあ、新聞には一つだけ正しい事も書いてあるんだ。ほら見てみなよ。」

彼が指し示した先には「今日の日付」が書かれていました。
気がつけば日が落ちて、あたりはもう真っ暗になっていました。

posted by オギノ at 16:47| Comment(0) | 中国の日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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