トウバンジャンとは何かと言われたら、豆で作る味噌としか言えません。ソラマメである必要はなく、大豆で作る地域もあるようです。
かびは、基本的にはケカビですが、麹カビでやるところもあるようです。ものの本によれば麹カビは加熱した豆に付きやすく、ケカビは生の豆に付きやすいようです。
大豆のことはおいておき、ソラマメだけで言いますと、乾燥か生かで分かれます。唐辛子は塩漬けか生かで分かれます。混ぜ合わせたあと日に当てて晒す工程がありますが、あの工程がなくてもトウバンジャンにはなります。乾燥ソラマメを運んでいる途中雨に濡れてカビが生えてそれでみそを作ったのがトウバンジャンの始まりとの説がありますが、もっと前からトウバンジャンはあったという本もあります。現在は黴付けしたソラマメ麹(霉豆瓣)が売られており、比較的簡単にトウバンジャンができます。
ここからは自分で考えたことなのですが、生のソラマメ、生の唐辛子、塩で作った場合、水分が多くなります。水分がかなりあると表面に水の膜ができて、乳酸菌が増えやすくなります。まず中に乳酸菌を増やして腐敗を防ぎ、徐々に混ぜながら水分を蒸発させて味噌に行くのかなと思ってますが、想像でしかありません。
晒さなくてもトウバンジャンと言いましたが、晒すものは晒豆瓣酱、晒さないものは阴豆瓣酱と呼ばれます。霉豆瓣と乾燥ソラマメで作ったものは混ぜる必要はありますがそこまで水分を飛ばす必要はなく、生材料で作ったものは混ぜながら水分を飛ばしていかないと酸味が出てくるのかなと考えています。
四川三大トウバンジャンというものがあり、一つは郫县豆瓣酱、もう一つは临江寺豆瓣酱、最後は山城金钩豆瓣酱です。
日本のメーカーさんにも電話して聞いたのですが、それは迷惑がかかるかも知れないので書きません。発酵調味料は奥が深いですね。
取材で「日本で一番トウバンジャンに詳しい調理師と聞きました」と言われましたが、詳しい調理師はほかにたくさんいます。でも日本で一番作るまでの下調べが長いとは思います。こうしてたくさん調べているとレシピが浮かびます。その通りに作るとだいたいうまくいきますので、試してみてください。