2017年08月07日

うまみ乗せすぎ

dancyu2017年9月号が発売されました。中華特集なので、ぜひご購入下さい。
その中で特に印象に残ったのが今清水隆宏さんの上海炒麺の中の、中国大陸の料理は「旨みが薄い」というくだりです。

中国料理って現在はチキンパウダー、濃縮鶏汁(液体チキンパウダー)を駆使して味を重ねていきますが、昔は今ほどたくさんは使わず、うま味の中心は味の素でした。四川でも油と塩を利かせて素材の味を出す料理が多く、「旨みが薄い」ことによって毎日でも食べられる味だったと思います。

四川料理の街場の店は昔からそんなにいいスープで料理をするというわけではなく、薄いスープまたは水で調理してました。

うちの店も清湯、白湯ありますが、料理はほとんど油、塩、清湯でしてます。これを例えば水に変えたとき、野菜の炒めを水に変える勇気はないのですが、野菜を手作りのラード、塩、水で炒めたら、もっと素材の味が出てきて中国の家庭に近づいていけるのではないか。うちの嫁さんの実家は茶碗蒸しを水でしますが、より卵の味が出ると思います。でもまだその価値観には達してません。

中国料理は粗材細料、特別ではない素材をすごくおいしくすることが特徴なのですが、その特別ではない素材が例えば近くの畑でとったばかりの野菜、屠殺したての肉と、ブランド肉、ブランド野菜ではないにしろそれなりにいいものでした。

特別な素材を使ってもっと良いものを作ることは僕は否定しませんが(知り合いの中国人は否定してます)、特別な素材を使って、素材の味を活かす薄味で…というのは中国料理ではないです。僕の専門の四川料理、台湾料理で言えばある程度の油、ギリギリの強い塩加減、この二つがあってこそものの味がはっきりしてきます。

最近の成都の料理はうまみを重ねて全然おいしくないんですが、僕は川菜博物館で聞いた「昔(100年くらい前)の料理は一つの料理につき調味料を4か5種類しか使ってなかった」ぐらいのところを目指して、中国らしい「旨みの薄い」料理を追究していきます。
posted by オギノ at 01:29| Comment(0) | 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月01日

米と水

今日従業員に話したことですが、ご飯を炊くときの米と水の量はどう量るのが一番いいのでしょうか。
辻調理師専門学校の時は、研いだものをざるに上げて、米と水が同量だと教わったような気がします。

一番最初に入った店では、毎回同じ量の米を研いで、毎回水を手の感覚で測ってました。

うちは米の量は毎回グラムで量ります。そのあと水加減を決めるのですが、米の量に対して水の量は毎回同じでしょうか。それとも違うでしょうか。吸水の時間や研ぐ速度で水は増やしたり減らしたりするべきでしょうか。

答えはどちらとも言えない、と思います。学生の頃のやり方だと研ぐスピードが遅いと米の吸水が進み、米の量、水の量が少し変わってくると思います。逆に最初の店のやり方だと、(季節ごとに)必ず同じ量でいけます。

市販の炊飯器には米の量に応じた水の量が決められていて、研ぐスピードに関係なく同じ量です。これは吸水がどの程度であっても、米と水の合わせた量は同じだと言うことです。つまり米の量が同じなら、米と水の合計を量れば新米か古米かは置いといていつも同じ状態で炊けるはずです。

具体的には米1合150グラムを研ぎ、水と合わせて390グラムくらい(米の種類、季節で増減あり)にすると、ちょうどいい水分量になります。新人は勘というものがないので、うちでは常にグラムを量ったり長さを定規で計ったりさせます。感覚で教わると調理場の中でずれが出てきてむちゃくちゃになるので、その方がいいのかなと思います。きっちりしていてステキな調理場だと思いませんか。

はかりがないときは、鍋など円筒形のものに米を入れ、底から「研いですぐの米」の高さを指などではかり、その高さを2とすれば3弱の高さまで水を入れます。そうするとうまく炊けると思います。
posted by オギノ at 17:16| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月29日

トウバンジャンとは何か

某有名全国誌の方からトウバンジャンのことを聞かれました。ある程度は知ってたのですが、この機会に新たに調べたこともあり、もったいないので書くことにしました。もし間違っているところがありましたらご教示下さい。
トウバンジャンとは何かと言われたら、豆で作る味噌としか言えません。ソラマメである必要はなく、大豆で作る地域もあるようです。

かびは、基本的にはケカビですが、麹カビでやるところもあるようです。ものの本によれば麹カビは加熱した豆に付きやすく、ケカビは生の豆に付きやすいようです。

大豆のことはおいておき、ソラマメだけで言いますと、乾燥か生かで分かれます。唐辛子は塩漬けか生かで分かれます。混ぜ合わせたあと日に当てて晒す工程がありますが、あの工程がなくてもトウバンジャンにはなります。乾燥ソラマメを運んでいる途中雨に濡れてカビが生えてそれでみそを作ったのがトウバンジャンの始まりとの説がありますが、もっと前からトウバンジャンはあったという本もあります。現在は黴付けしたソラマメ麹(霉豆瓣)が売られており、比較的簡単にトウバンジャンができます。

ここからは自分で考えたことなのですが、生のソラマメ、生の唐辛子、塩で作った場合、水分が多くなります。水分がかなりあると表面に水の膜ができて、乳酸菌が増えやすくなります。まず中に乳酸菌を増やして腐敗を防ぎ、徐々に混ぜながら水分を蒸発させて味噌に行くのかなと思ってますが、想像でしかありません。

晒さなくてもトウバンジャンと言いましたが、晒すものは晒豆瓣酱、晒さないものは阴豆瓣酱と呼ばれます。霉豆瓣と乾燥ソラマメで作ったものは混ぜる必要はありますがそこまで水分を飛ばす必要はなく、生材料で作ったものは混ぜながら水分を飛ばしていかないと酸味が出てくるのかなと考えています。

四川三大トウバンジャンというものがあり、一つは郫县豆瓣酱、もう一つは临江寺豆瓣酱、最後は山城金钩豆瓣酱です。

日本のメーカーさんにも電話して聞いたのですが、それは迷惑がかかるかも知れないので書きません。発酵調味料は奥が深いですね。

取材で「日本で一番トウバンジャンに詳しい調理師と聞きました」と言われましたが、詳しい調理師はほかにたくさんいます。でも日本で一番作るまでの下調べが長いとは思います。こうしてたくさん調べているとレシピが浮かびます。その通りに作るとだいたいうまくいきますので、試してみてください。
posted by オギノ at 00:54| Comment(0) | 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする